寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
黍魚子
きびなご / キビナゴ
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9月、市場で鮮度抜群、きらきら輝くキビナゴを見つけた。
あまりにきれいなので仲卸で産地を聞くと高知産だという。
これは買わない手はない。しかし待てよー。
産卵は初夏とするとまだ時期が早すぎるだろう。キビナゴに脂がのってくるのは冬になってから。まだまだ蒸し暑い、今日この時季に買っても仕方ないだろう。
諦めようと、背を向けるや、
「どうしたの、買わないのかよ。オレと半分にしようよ」
近所の居酒屋のオヤジから声がかかる。
浅い発泡一箱で800円だから、「わかったよ。じゃあ400円ね」、と消費税はお任せする。
これをその場で手開きにして、『市場寿司 たか』に持ち込む。
たかさん、数本手にとって、
「キビナゴだねーー」
「キビナゴだけど」
「オレ、あんまり好きじゃないな。キビナゴって、キビナゴの味がするだろ」
「当たり前だ。それって、個性があるってことでしょ。だいたいキビナゴにはイヤなクセもないし、淡白じゃない」
「その淡白なところが嫌いなんだ」
「わからんなー」
とにかく適当に手開きさいたものを少々手直しして握ってもらう。まことに美しい。
しかしプツっとした食感はいいものの旨味は薄い。あんまりうまくない。このあたり魚の旬というのは難しい。
「食感だけでだまされてしまう人もいそうだ。しかし、けっしてうまいもんじゃない。たかさん、これは、キビナゴの旬を追いかけてみるしかないね」
「オレはどうでもいいけどね」
どうやら関東のすし職人って、キビナゴに関しては無関心であるらしい。
寿司ネタ(made of)
キビナゴ
Banded blue sprat
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