寿司図鑑 682貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

平鯛/ヘダイ

へだい / ヘダイ
平鯛/ヘダイ
握り

10月13日は鳥取の賀露漁港にいた。
 案内は浜勝商店の十九百(つづお)さん。
 大きな紅いか(ソデイカ)がずらりと並ぶ、その先に定置網で揚がったものだろう地魚があった。
 きんめ(チカメキントキ)、あこう(キジハタ)、ウマヅラハギにヘダイがたっぷりと並んでいる。
 形はマチマチなのだけど、小型のものを指さして、
「これくらいのが、これから脂がのってうまくなるんです」
 十九百さんが教えてくれる。
「そうすると鳥取ではヘダイは冬のもんですね」
「そうじゃろうな」

 そして旅から帰り着いて一週間、日常生活をとりもどしての市場歩き。
 八王子で手頃なヘダイを見つけた。
 産地は和歌山県。
 手のひらほどの大きさである。

「きれいな魚だよな。なんで“へ”がつくんだ?」
 たかさんが無闇に子供っぽいことを言う。
 卸すのに時間はいらぬ。
 あっという間に二かんがくる。
 このサイズで片身二かんなのだ。
 何も言わないのに片方を醤油洗いしてある。

 最近、握る前に生醤油で洗う、というのをたかさん盛んにやるのだ。
 これは戦前までのすしの技法のひとつで、ボクが本の記述から見つけて、いろんな魚で試しているところ。

 ヘダイの握りは平凡だった。
 思ったよりも脂があって、まずいワケじゃない、むしろ美味なのだけど、「だから、どうだ」というほどのインパクトに欠ける。
 そこに醤油洗いがくると明らかに、こちらがいい。
 不思議なことに、生醤油で洗って、ほんの2、3分なのに魚の旨味が浮き立つのだ。
 生の握りだと、生醤油は味付けだけど、予め醤油で洗うと、料理だと言うことがわかる。

「たかさん、鳥取に十九百さんという松葉蟹のプロがいるんだけど、その人がヘダイはこれからどんどんうまくなるんだって」
「そう、目立たない魚だから、めったに買わないけど、今年は月ごとに試してみようか」

寿司ネタ(made of)

ヘダイ
Goldlined seabream, Silver Bream 枋頭,黃錫鯛,平鯛

ヘダイ
北海道道東・オホーツク海沿岸を除く北海道、本州以南、琉球列島までの日本各地で水揚げがある。内湾や汽水域に多いクロダイよりもやや沖合にいて、ときに群れを作るようで定置網などにまとまってはいることがある。クロダイほど黒くなくまた磯臭みがない上に・・・・
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