寿司図鑑 681貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

足赤/クマエビ

あしあか / クマエビ
足赤/クマエビ
握り

この国でとれる大型のクルマエビの仲間を挙げていく。
 クルマエビ、クマエビ、フトミゾエビ、ウシエビ。
 だいたいこの四種類になるものと思われる。
 クルマエビ類の代表的なものが、当然、クルマエビ。
 ついでむしろブラックタイガーと呼ばれて輸入物が主流となっているのがウシエビ。
 フトミゾエビは国内では少なく、これも輸入が主。
 クマエビは昔からクルマエビに次ぐ高級エビであったが、これも国産は少なく、市場には輸入物が幅を利かせている。
 どんどん国産の天然クルマエビがいなくなって来ているのが、ボクが市場を見てきた25年ほどでもひしひしと感じられる。

 今回は国産のクマエビを見つけた。
 珍しいねと買い込んだものの、残念ながら産地がわからない。
 仲買に荷受けへの問い合わせをお願いしたのだが、とうとう返事がこなかった。
 これを買い、たかさんに手渡す。

kumaebi081010222.jpg
●クリックすると拡大

 まずは甘酢を作り置く。
 鍋に熱湯をそそぎ、沸騰した状態で塩をひとつまみ。
 串打ちしたクマエビをゆでる。
 手でつまみながらゆで加減をみて、冷水に落とす。
 あら熱がとれたら、大急ぎで剥いて、開き、背わたを取り去り、甘酢に漬け込む。
 漬け込む時間は4、5分程度。
 ペーパータオルで甘酢をよく拭き取り、握る。

「たかさん、甘酢に漬ける時間、短いんだね」
「そうさ、洗うだけでもいい」

 出来上がった握りが美しい。
 クルマエビの仲間でもゆでたときの朱の発色がマチマチだけど、クマエビは見事に赤い。
 この赤さがクマエビをしてクルマエビに準じる位置を占めさせたのだろう。
 また国産で一度も冷凍していないわけで、色合いだけではなく身に膨らみがある。
 そしてその赤い身の甘いこと甘いこと。
 そこに酢を感じて、これが余計に甘さを引き立てる。
 野締(のじ)のエビというのはゆでて、やや臭みを感じるが、甘酢はこれを完全に打ち消している。
 芳醇な身の旨味と甘さであって、豪華さ、華のある味だ。
 すし飯との相性も抜群にいい。

「ウチでもこんなもん出せたらいいだろうな」
 たかさん嘆く。
 クマエビの値段は1本250円なり。
 とすると普通すし屋で出すとしたらかなりのお値段になってしまう。
 ときに一かん500円、600円になるやも知れず。
 市場の庶民的なすし屋では無理なのだ。
 こんな握りを品書きにのせられるように、『市場寿司 たか』も新しい展開を試みなければならぬ。

寿司ネタ(made of)

クマエビ
Green tiger prawn

クマエビ
大型のクルマエビの仲間で、関東以西の内湾などに普通に見られる。東南アジア、南半球のオーストラリアにもいて、養殖も行われている。国産は西日本に多いが、近年、関東などでも少ないながら増えている。
すしネタ、天ぷら、フライなど用途も広い。熱を通す・・・・
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