寿司図鑑 699貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

彼岸河豚/ヒガンフグ

ひがんふぐ / ヒガンフグ
彼岸河豚/ヒガンフグ
握り

寒くなるにしたがい市場に増えるもの、それがフグである。
 中でも大好きなのがヒガンフグ。
 市場で見つけてはフグ調理師にみがいてもらって(毒の除去)、楽しんでいる。
 それであるとき、ヒガンフグを八王子綜合卸売協同組合『マルコウ』のクマゴロウにお願いする。
 ヒガンフグの毒性は強く、隠れワタ(脳みそ)や口腔の膜など、フグ調理師の腕の見せ所だ。
 ひとばん寝かせて、これまたクマゴロウに切り付けていただき、たかさんに握ってもらったのだ。
 これぞ市場ならではの連携がなせるわざ。

 ヒガンフグは神奈川県産のもの。
 フグの中でももっとも味のいいことで知られている。
 とくに島根県・山口県沿岸のトラフグ漁師さんなどでこのフグを好む人が多い。

 非常に鮮度のいいもので、卸した翌日の刺身の味わいったら最上級のものだ。
 これを握るのだから、うまいに決まっている。
 ヒガンフグのよさは強い弾力、食感が楽しめるところだ。
 そこに独特の甘味と、旨味がジワジワとくる。

「オレもフグ調とろうかな、なんて思うくらいにうまいね」
「とればいいじゃない」
「バカ言え、おれは孫がいるんだぞ」
「関係ないだろ」

 さて、残ったあらで鍋とする。
 これが恐るべき美味な鍋となったのは、ここでは書かないがやっぱり河豚ちりは冬の夜には欠かせない。

 最後に蛇足だが、ぼうずコンニャクは現行のフグ調理師制度というのがどうしても理解できない。
 おかしいと思う。
 フグを安全に食べるためでないことは明らかで、「フグ調理師」という特権を与えるための制度に思える。
 特権をもったものは必ず奢りを、そして特権を無駄に遂行する。
 だいたいフグ調理師はいわいる技能であっても免許を与えるようなものではない。
 免許を与えるなら「フグ毒除去師」として、運転免許のように国家免許制にするべきなのだ。
 とくに東京都が行っているトラフグの皮の処理とか、薄造りにするなどは、とても「フグを安全に食べるため」という目的にはかなっていない。
 むしろトラフグだけの需要を高める結果となり、加うるに安全性を軽視しているように見受ける。
 フグを正確に同定できる、毒の部分を認識し除去できる、この二点がいちばん大切で、これを免許制にして、ある程度の期間が来たら更新の義務を負わせる。
 そして地方自治体が免許を与えるのではなく、この国の人おしなべて危険をともなうのであるから国家資格にするべきだ。

寿司ネタ(made of)

ヒガンフグ
英名/Globefish, Blowfish, Puffer

ヒガンフグ
関東では「あかめふぐ」と呼ばれているので要注意である。本種も標準和名のアカメフグは白子が食べられるが、本種は食用不可だ。あくまでも標準和名のヒガンフグについてだ。
琉球列島をのぞく、国内全域で水揚げのある中型のフグだ。冬になると入荷が増え、・・・・
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