寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
大猿猴蟹/オオエンコウガニ
おおえんこうがに / オオエンコウガニ
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深海底曳網に入る甲殻類は膨大な量と種を誇る。
ただし食用になるものはエビ類に多く、異尾類(タラバガニ科)、短尾類(カニ)に少ない。
そのカニ類の代表が二種類あり、方や駿河湾名物となっているタカアシガニとオオエンコウガニだ。
タカアシガニが世界最大のカニであることは有名だが、オオエンコウガニだってなかなか負けてはいない。
ときに三キロ、四キロなんてものが揚がる。
三キロのカニと簡単に言うけれど、実際に持ってみるといかに大きいかがわかる。
とくにオオエンコウガニは頭が大きく、まるで岩石を持ち上げているようだ。
駿河湾沼津魚市場でこれを見つけると、なんとなく買ってしまう。
競り場で見つけても、そんなに大切に扱われているようではない。
そしていつも一尾だけで寂しい風情。
産地でもあまりまとまらないので、まずよそに行く可能性はない。
今回のものは沼津市戸田の船が水揚げしたものだが、ボクが買わなければ、地元の魚屋さんか、料理屋さんでひっそりと売られる運命にある。
オオエンコウガニのこまった点は頭が大きすぎることだ。
カニの身は一般に足に多く、甲羅下は少ない傾向にある。
足が小さければ、身が少ないということになる。
ましてや雌の方が足が華奢ときていて、今回のものは雌の2キロという代物だ。
大鍋でがんばってゆでた割りに、さて収穫はいかばかりか。
丸のまま『市場寿司 たか』に持ち込んで、あとはたかさんに任せる。
たかさんは無類の甲殻類好きである。
喜びをかくさずせっせと大きなカニを分解していく。
分解するに従い、いろんな物体と遭遇する。
さて、その甲羅下中央に見つけたのが、沼津の人のいう、油だ。
こらは肝膵臓と呼ばれる、臓器だろうが、オオエンコウガニのものはややしつこい。
だからミソも卵巣めいたものを取り去ると、後はたいした量がとれない。
足一本分を書きだして、ミソ少々を上にのせた握りがほどなく出てきた。
かたわらで身をせせりながら、
「味はいいんじゃない。大きさの割りに身はちょっとだけど、充分楽しめるよ。うまい」
さてカニ食いではないボクが食べても、確かに甘く、ほどよく繊維質なのでうまいな、と思う。
ただしミソは余計かもしれない。
ボクが握りの撮影をしている間に、足も、ハサミの部分も、手際よくバットに納まって、冷蔵庫に。
これはカニ好き一家、渡辺家がオオエンコウガニうまし、と合格点を与えた証拠。
駿河の国、沼津に立ち寄ったら駿河湾の珍ガニであるオオエンコウガニを食べてみて欲しい。
2009年4月13日
寿司ネタ(made of)
オオエンコウガニ
Japanese golden crab
量的には非常に少なく一般的には流通することはない。
大型のカニで味がよく産地周辺で楽しまれている。・・・・
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