寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
赤皿貝/アカザラガイ
あかざらがい / アカザラガイ
握り Nigiri軍艦巻 gunkanmaki海苔巻 Norimaki丼・ちらし Don/Chirashi郷土ずし Kyoudozushiなれずし Narezushiいずし Izushiいなりずし Inarizushiその他 Others
アズマシキという美しい二枚貝がいる。
ホタテガイに近い形で、やや細長く、表面がザラザラしている。
赤や黄に染まり、まことにきれいだ。
あまり大きくならず、各地で食用として消費される程度にしかとれない。
三陸にはこのアズマニシキの地方形があって、それがアカザラガイなのだ。
気仙沼などでは養殖が行われ、地元の民宿などでだされているようだ。
見た目が地味なのであまり値がつかないせいだろう。
関東にはあまり来ない。
珍しいものともいえそう。
話は脱線するが種の確定者名が「Kuroda,1932」というのがボクには印象的だ。
「Kuroda」すなわち黒田徳米は日本の貝類学の基礎を築いた人。
まだ分類学も貝の収集というのも一般的ではない時期に陸貝、海貝をもとめて日本中を駆け巡った人。\nしかも学問の黎明期らしく、淡路島から京都の平瀬家に丁稚奉公に出て、たまたま出合った貝の世界に魅せられ、後に日本貝類学会の会長にまでなる。
閑話休題。
見た目が地味なら味わいも地味。
生で食べてホタテガイほど甘みがない。
「華がないね」
すし職人の渡辺貴之さんがつぶやく。
久しぶりに市場で見つけて、たかさんに渡したら、ポンポンと全部生でつけた。
ホタテガイと同じく、貝柱を半割にして握り、紐は軽く塩でもみゆでる。
ほんの4〜5分しかかからない。
生の握りは、たかさんが言うところの「華がない」がいちばん的を射ているようだ。
この場合の華とは甘みのことだ。
生で食べるなら甘みとか、青柳(バカガイ)のような独特な風味がほしい。
アカザラガイにはそれがない。
「ゆでてみよう」
言った途端に『市場寿司』に団体客(たった4人だが)がご来店。
ゆでたアカザラガイは次回に持ち越し。
その夜食べた焼きアカザラガイはとてもうまいものであった。
寿司ネタ(made of)
アカザラガイ
Akazara-scallop
ホタテガイに負けない味わいで、イタヤガイ科の養殖貝としてもっと人気が出てもおかしくはない。
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