寿司図鑑 821貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

髭鱈の昆布締め/ヨロイイタチウオ

ひげだらのこぶじめ / ヨロイイタチウオ
髭鱈の昆布締め/ヨロイイタチウオ
握り

ヒゲダラの季節到来!
一キロ上がずらりと並ぶのを見てそう思う。
「昆布締めでも作りますか」
近所の料理店主人ができるだけ大きいのを選んでいる。
長崎県産で、鮮度がいい。

つられて一本買い求める。
重さ1キロ半。
ヒゲダラの値段が下がったとはいえ、3000円近いものになる。
帰宅後すぐに三枚に下ろして、振り塩。
夕方まで寝かせて、水洗いして、よくよく水気を切って酒と水でもどした昆布で巻く。

翌日には格好のすしネタとなる。
たかさんにご進呈するや、笑顔がこぼれるのだ。
この方、昆布締めには目がない。
一口食べて、「こーりゃお客には出せね」なんてバカなことをいう。

ヒゲダラの標準和名はヨロイイタチウオという。
関東でも駿河湾であがるので比較的プロの間ではなじみ深い魚だ。
不思議なことに、煮ても焼いても平凡な魚なのに高級魚の一員となっている。
なぜだろう、というと昆布締めにするのだ。
ヒゲダラといったら昆布締めと決まっている。
それほどヒゲダラの昆布締めはうまい。

続いてボクも味見、途端にたかさんが自宅に持って帰って独り占めにしたい気持ちがわかる。
すぐに下駄に乗せられて出てきた握りを食べて、我ながらますます気持ちの高ぶりを覚える。
「うまいなー」
なぜかシコっとしているのだ。
心地よいのだ、食感が。
そこに魚自体の素直な何のクセもない旨みと、昆布の香り旨みが押しよせてくる。
面白いのは、江戸前のすし飯というのはネタの旨みを引き立てるのだ。
すし飯が合わさって、俄然旨さが浮き立ってきた。

「今回のいくら?」
「二千円(キロあたり)だよ」
「安くなったね、ヒゲダラも。不況のせいかね」

『市場寿司 たか』を午前10に出て、そのまま都心に。
よしなしごとをこなし、帰宅は7時半。
ヒゲダラのちり小鍋仕立てと昆布締めで近所で作られている酒を一合。
これぞ五十路の幸せってもんよ。

寿司ネタ(made of)

ヨロイイタチウオ
Armoured cusk

ヨロイイタチウオ
本州以南のやや沖合の深海に生息している。水揚げ量が多いのは九州など西日本である。小型は底曳き網でまとまって揚がり、大型は主に釣りで揚がる。
大型は東京ではとても高価で人気が高い。主に昆布締めになり、これに適さない小振りのものは極端に安く、鮮・・・・
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