寿司図鑑 1525貫目
天然シマアジ握り
てんねんしまあじにぎり / シマアジ
すし職人のたかさんに「シマアジの旬は」と問うと、
「ありません」
その心は、養殖しか使えないから。
実に正直である。
11月に買った鹿児島産シマアジは、空輸されたもので荷が少なかったのもあり、キロ5000円もした。築地場内仲卸は「当然でしょ」という顔をしていた。
たかさんに値段をつけさせると1かん1000円以上かなというが、これには売れないリスクも入っている気がする。たぶん銀座あたりだとこの二倍ではないか?
「たかさん、これ黄金(こがね)の味だね」
「その心は?」
「小判1枚払ってもいい」
切りつけた身のきめが細かく、その身の間に脂が混在して、微かだが口溶けかんがある。この溶けるのが甘味に思える。しかもシコシコとした食感も実に心地よいのだ。
「どうせ、ウチじゃー出せないし、味見につけるよ」
ずらりと並べて片っ端から食べまくる。飽きない。なんかんでもいける。
すし職人のたかさんも夢中になるほどのうまさだ。
「天然シマアジはたかさんにつけてもらうのが安上がりだ」
寿司ネタ(made of)
シマアジ
White trevally 黃帶擬鰺 台湾/甘仔、瓜仔、縱帶鰺、石午(澎湖)、白魽
シマアジは東京での呼び名で、江戸時代から島鯵である。これは江戸の町に伊豆諸島から押送船(おしょく・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒