寿司図鑑 1658貫目

ハチビキの手こねずし

はちびきのてこねずし / ハチビキ
ハチビキの手こねずし
郷土ずし Kyoudozushi

価格ランク

並

近年有名になった「手こねずし」だが、ときどき伊勢名物だなんて言う人がいて驚く。「手こねずし」は三重県でも外洋、太平洋に面した志摩地方の郷土料理であって、内湾、伊勢湾に面した伊勢の郷土料理ではないのだ。
外洋に出てカツオを釣り上げる。食事は船上でとるのだけど、腐りにくい、すし飯だけ持って行く。釣れたカツオを適当に切り、醤油に漬け込んですし飯に手で混ぜ込んで(手でこねて)即席に作った料理である。
醤油に漬け込んだカツオ、もしくはキハダマグロなどの赤身は家族の土産にもなる。その内、家庭でも作るようになり生醤油だけではなく砂糖醤油につけ込むように変わる。これが「手こねずし」の起源なのだ。家庭によっては、季節季節にとれた多彩な魚を使って作るようにもなる。
その志摩地方に生まれ育った、林市兵衛さんに教わったのが赤身ではなく、身は赤いが赤身ではない「ハチビキの手こねずし」だ。ハチビキの赤は赤身魚のミオグロビンから来るものではなく、色素によって赤い。味わいは白身と赤身の中間的なものである。うま味が豊かなのも赤身魚に似ている。
ハチビキは水洗いして三枚に下ろし、血合い骨・腹骨を取る、やや細かく切り、砂糖醤油につけ込んでおく。2、3時間から半日漬け込んですし飯に混ぜ込む。醤油漬けを混ぜ込むのですし飯が少し醤油色に染まる。それこそが「手こねずし」らしさだ。
昔、志摩地方の女性に、「手こねずしは一升、二升では足りぬ」と言われたことがある。まさにそんな味である。
2022/09/17

寿司ネタ(made of)

ハチビキ
Japanese rubyfish 台湾/史氏紅諧魚、紅鰱魚、紅肉欉仔、紅嘴唇仔、紅唇仔、紅魚仔、白肉蒜,紅肉蒜

ハチビキ
比較的暖かい海域のやや深場にいる大型魚。身色が赤いのが特徴である。この赤い色合いは色素からくるもので、カツオなどの赤身魚がヘムタンパク質ミオグロビンで赤いのとは根本的に違っている。
関東などでは昔、筋肉が赤いので「赤鯖」と呼ばれて非常に安い・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

この寿司ネタの他の寿司(Others)

ぼうずコンニャクの本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ
~プロもビックリ!~

すし図鑑が文庫本サイズに! Kindle版も。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
ぼうずコンニャクの全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャクの新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行20万部突破のベストセラー。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。