寿司図鑑 1676貫目

滋賀県安曇川、ハスの「はすご寿し」

しがけんあどがわ、はすの「はすごすし」 /
滋賀県安曇川、ハスの「はすご寿し」
なれずし Narezushi

価格ランク

高級

ハスは定番的な「なれずし」の種である

滋賀県琵琶湖周辺でもっとも普通に売られている「なれずし」がハスを使ったものである。
ハスは淡水域である琵琶湖周辺にとって、イワシ(マイワシ)やサバ(マサバ)と同じような感じのものだと思っている。
もちろん高度に流通が発達した現代ではわからないと思うが、琵琶湖では古くから、もっともたくさん水揚げがあり、もっとも日々の総菜として重要なものだ。
若い個体から成魚まで様々な料理になり、加工品になる。
滋賀県は日本一の「なれずし」県である。種類も量も群を抜いている。
淡水魚ではニゴロブナ、「ひわら(マブナ)」のフナ類についで多いのが、ハスである。
比較的若い個体を使うことが多いが、「なれずし」入門にいちばん向いている魚のひとつである。

『川魚のよしうめ』の「はすご寿し」


琵琶湖西岸、安曇川町(現高島市安曇川町)は一級河川である安曇川をはじめ琵琶湖への流入河川が多く、漁業の盛んな地域である。
昔は川魚料理の店、川魚の加工店の多い地域だったと言うが、現在は3店舗になっている。
さて、今回の「はすご寿し」は開きにして漬け込んでいる。
ハスを使った「なれずし」はたくさん買っているが、開いたものは初めてだ。

「ハス子」にしてはやや大振りで、丸のまま食べる人もいるだろうが、ボクは刻んで、なにもつけずにそのまま食べる。
堅田の方で醤油をかけて食べるという人に出会っているが、ボクには塩気が強すぎる。
発酵臭はするものの、比較的弱く、ちょっともの足りないくらいだ。
たぶん内臓をとってつけたためだろう。
とても食べやすく、その上、ハスらしい味もちゃんと感じられる。
ハスは「ふなずし」と違い漬け込み期間が短く、もともと「ふなずし」よりも食べやすいものだが、本品は明らかにより食べやすくしたものである。

「はすご寿し」を刻んでさらさらと湯漬けにする


「なれずし」のいちばん好きな食べ方は湯漬けである。
炊きたてご飯(もちろんチンしたものでもいい)に刻んだ「はすご寿し」をのせて、熱湯をかけて醤油を回しかけてさらさらといく。
早朝の湯漬けは胃に優しく、大量の乳酸菌のお陰か、湯漬けの日々が続くと絶好調になる。
それにしても栄養的には足りないところだらけだけど、やけにうまし。
ハスではあるが、われ、三条中納言になりにけり。
[川魚のよしうめ(薫彩堂・鰻彩堂) 滋賀県高島市安曇川町末広]

寿司ネタ(made of)

ハス

ハス
本来は琵琶湖、淀川水系、三方湖などの固有種。これが日本各地に移入されて関東などでも普通に見られる。
だれが決めたことかはわからないが「琵琶湖八珍(ビワマス、ニゴロブナ、ホンモロコ、イサザ、ゴリ/ヨシノボリ属の幼魚、コアユ、スジエビ、ハス)」・・・・
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