寿司図鑑 1215貫目

クログチの握り

くろぐちのにぎり / クログチ
クログチの握り
握り

価格ランク

並

 クログチはニベ科のなかでも大きくなり、身の色合いもシログチやニベとはまったく違っている。シログチはどちらかというとスズキに似た味わいであるが、本種はマダイに似た味をしている。関東には静岡県などから鮮度のいいものが稀に入荷してくるが、馴染みがないので安いのもありがたいところだ。河岸に出ていたら迷わず買う魚のひとつ。
 産卵期を控えた5月の1キロ弱を仲卸で見つけて速買い求める。産地はやはり静岡県。たかさん(すし職人、渡辺隆之さん)が皮を引いたら、実に美しい血合いが現れて、その血合いの上に脂が層をなしているのがはっきりわかる。切り身を口に入れたたかさんが「うーん」を声を出す。
「うますぎるね。昨日仕入れたタイがいらなくなる」
「5月のマダイよりは、クログチの方が数段上かもね」
 出てきた三かんが、下駄の上でまるで花のようである。
 まず一かんはそのまましょうゆを浸して口に放り込む。口の中でネタの表面がとろける。身に甘味があり、食感がいい。
「官能的だね」
 二かんめはすだちの薄切りをのせて香りづけをして、口に放り込む。このすだちとの相性がとてもよい。うまいだけではなく、もうひと味プラスというか、より官能的な味になる。最後の一かんもすだちの香りをプラスして口に放り込む。
「たかさん、エロチシズムを感じる握りだね」
「よくわからんが、あと二かんかな」
「正解!」
2013年05月08日

寿司ネタ(made of)

クログチ
Blackmouth croaker

クログチ
東日本よりも西日本でよく食べられている。東海以西、九州などに行くとよく見かける。身は刺身に皮は別立てで売られているのを見たことがあるが、この皮がうまそうで旅の最中であるのがうらめしく感じたことがある。大分県臼杵市などでは「釜借」といって珍重・・・・
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