寿司図鑑 612貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

赤矢柄/アカヤガラ

あかやがら / アカヤガラ
赤矢柄/アカヤガラ
握り

赤く細長くて、奇怪な面突きの魚であるアカヤガラ。
 ときどき二メートル以上のもあって、市場行く人を驚かせる。
 ある日、希に見る美人が通りかかり「どうやって食べるんでしょう」と聞いてきたことがある。
 待ってましたと友人の魚屋が1メートル以上ありそうなアカヤガラを持ち上げる(これで2,3キロ)。
「こんな珍しい魚見たことないでしょ。買っていきません」
 突然美人を前にしたもんだから声が裏返っている。
 この「珍しい」というのはウソである。
 関東の千葉や相模湾でも揚がるものだし、昔から上質な白身魚として珍重されてきている。
 細長く頭の大きい魚で歩留まりが悪い。
 それなのに値もいい、よく高級魚と言われているが本当はその上に「超」がつく。
 主に潮汁や焼きもの、刺身で食べるが、当然、寿司ネタにもなる。
 和歌山県から来た一キロほどのアカヤガラを『市場寿司 たか』に持ち込む。
 寿司職人の渡辺隆之さんも、「別に珍しい魚じゃなし」、何も言わずにすんなり2かん出してきて、自分も2かんぱくりとやる。
「白身でクセがなくて、上品だけど、まあいいのはそこまで、どうしてもヤガラが食べたいって思う人はいないかもね。でもオレは好きだけど」
「歩留まりが悪くて儲からないから、嫌いなんじゃないの」
「まあそう言う風にも考えるな」
 これだから白身は難しい。
 寿司屋に必要な白身は2種類ほど。
 三種類あると「多いな」と感じるようだ。

 さて、アカヤガラは白身なのに独特の旨味がある。
 風味・個性と言ってもいいだろうか。
 そして身の柔らかさからすし飯ともすんなり馴染む。

 しかし、今回のアカヤガラはそれ以上のうまさが感じられない。
 これは型が小さかったためと、どうやら木の芽時は旬ではないらしい。
 この魚の旬がよくわからないのである。

寿司ネタ(made of)

アカヤガラ
Red cornetfish, 鱗馬鞭魚、鱗煙管魚

アカヤガラ
北海道から熱帯インド洋・西太平洋に広い生息域を持つ。日本各地で水揚げがあるが、房総半島以南で水揚げが多い。非常にユニークな姿なので市場などでもとても目につく魚である。
関東などでは古くから椀ものなどに使われる上等な魚とされている。当然、割烹・・・・
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