寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
赤矢柄/アカヤガラ
あかやがら / アカヤガラ


「これいくらかな」
「二千円だよ」
「ほう、高くもなく安くもなくだな」
「でも大きさがちょうど手頃でしょ」
八王子魚市場で言われるままに量りにのせたら一キロほど。
持った感触からして、鮮度、脂の乗りと申し分がない。
近場、千葉県産というのも魅力を感じるところ。
会計で二千円と少しを支払い、そのまま『市場寿司 たか』に持ち込む。
「いい“やがら”だね。小さいけど身に張りがある」
たかさん、頭部を落とす。
これがなかなか硬いのである。
当然梨割りには出来ない。
胸鰭から尻ビレの当たりの身を三枚に卸して、まずは刺身に。
そして握りに。
「ホントに歩留まりの悪い魚だな。半分は無駄だ」
「たかさん、その無駄な部分からいいだしが出るんだ」
ついでに居合わせた若い大学生カップルにもごお裾分けする。
「君たち、ご馳走するから、ちゃんと感想を言うんだよ」
二人は、アカヤガラの不思議な外見に驚き、また意外にきれいな握りなのに感心したり。
食べて頂くなり、
「おいしいです。初めて食べました」
と笑顔になる。
ボクとたかさんの寿司図鑑作成はいろんな人を巻き込んでいく。
アカヤガラはきれいな白身で皮付近が赤い。
この皮近くに味があるように思えるのだけど、気のせいだろうか。
どうにも白身のうまさをうまく表現できないのだけど、旨味があり、少し甘味とまったり感があるのは脂からくるものだろう。
「たかさん、脂があるのかな」
「そうだな。脂があるようだね。白身だけど、旨味があるね。寿司飯に負けない旨味ってヤツ」
どちらにしてもアカヤガラの握りは“品のある味”なのである。
三かん、四かんつまんでも飽きが来ない。
大学生のカップルが「ありがとうございました」と言って帰っていく。
「たかさん、なんだ寂しい気分になってきた」
「どうして」
「最近、恋に縁がない」
「あ、そーお? オレは何時だって恋してるよ」
「どこで?」
寿司ネタ(made of)
アカヤガラ
Red cornetfish, 鱗馬鞭魚、鱗煙管魚
関東などでは古くから椀ものなどに使われる上等な魚とされている。当然、割烹料理などに使われるもので、一般的に知られている魚ではない。
刺身、焼きものなども味がよよいが・・・・
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