寿司図鑑 613貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

赤矢柄/アカヤガラ

あかやがら / アカヤガラ
赤矢柄/アカヤガラ
握り

「これいくらかな」
「二千円だよ」
「ほう、高くもなく安くもなくだな」
「でも大きさがちょうど手頃でしょ」
 八王子魚市場で言われるままに量りにのせたら一キロほど。
 持った感触からして、鮮度、脂の乗りと申し分がない。
 近場、千葉県産というのも魅力を感じるところ。
 会計で二千円と少しを支払い、そのまま『市場寿司 たか』に持ち込む。

「いい“やがら”だね。小さいけど身に張りがある」
 たかさん、頭部を落とす。
 これがなかなか硬いのである。
 当然梨割りには出来ない。
 胸鰭から尻ビレの当たりの身を三枚に卸して、まずは刺身に。
 そして握りに。
「ホントに歩留まりの悪い魚だな。半分は無駄だ」
「たかさん、その無駄な部分からいいだしが出るんだ」

 ついでに居合わせた若い大学生カップルにもごお裾分けする。
「君たち、ご馳走するから、ちゃんと感想を言うんだよ」
 二人は、アカヤガラの不思議な外見に驚き、また意外にきれいな握りなのに感心したり。
 食べて頂くなり、
「おいしいです。初めて食べました」
 と笑顔になる。
 ボクとたかさんの寿司図鑑作成はいろんな人を巻き込んでいく。

 アカヤガラはきれいな白身で皮付近が赤い。
 この皮近くに味があるように思えるのだけど、気のせいだろうか。
 どうにも白身のうまさをうまく表現できないのだけど、旨味があり、少し甘味とまったり感があるのは脂からくるものだろう。
「たかさん、脂があるのかな」
「そうだな。脂があるようだね。白身だけど、旨味があるね。寿司飯に負けない旨味ってヤツ」
 どちらにしてもアカヤガラの握りは“品のある味”なのである。
 三かん、四かんつまんでも飽きが来ない。

 大学生のカップルが「ありがとうございました」と言って帰っていく。
「たかさん、なんだ寂しい気分になってきた」
「どうして」
「最近、恋に縁がない」
「あ、そーお? オレは何時だって恋してるよ」
「どこで?」

寿司ネタ(made of)

アカヤガラ
英名/Smooth flutemouth

アカヤガラ
古くから椀ものなどに使われる上等な魚とされている。
当然、割烹料理などに使われるもので、一般的に知られている魚ではない。
刺身、焼きものなども味がよよいが、歩留まりから考えると超高級魚といえる。
田中茂穂は「薬用となるとの評判が多い」と書く・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

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