寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
さばのへしこ/タイセイヨウサバ
さばのへしこ / タイセイヨウサバ
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水産加工品にぬか漬けというのがある。
米ぬかと塩で魚貝類を漬け込む保存食で、千葉県から北に、ぐるりと北海道を回り込み、日本海、北陸、若狭で作られている。
これを富山では「こんか」、越前若狭では「へしこ」と呼ぶ。
普通、マイワシ、サバ、フグなどを材料に作られるのだけど、ほとんど丸のまま使っているせいか、ちょっと土俗的な食品に思える。
今では郷土料理、郷土食品のように思われている「魚のぬか漬け」であるが、例えば関東にある八王子という一都市では馴染みの深いものだ。
この繊維の街、八王子には、その昔、機織り工場が建ち並び、そこにたくさんの織り子(若い女性)が働いていた。
そのおかずの代表的なものが伊豆七島の「くさや」と北海道などからの「ぬか漬けの魚」だったのだ。
すなわち現在でも一般食品としての「魚のぬか漬け」と特産物としての「ぬか漬け」があって、一般食品は北海道産が主であり、特産品としてのものは北陸若狭がほとんどだ。
特産品なのだから、味わいもより洗練されて、ものがよい。
いわば、ぬか漬けの上物といったらわかりやすいだろう。
その上物の最たるものが若狭の「さばのへしこ」である。
サバをまるごと漬け込んであるので、このぬかを適度に拭き取り、薄く切って、軽くあぶり食べる。
上物であるほど、ぬかの臭いではなく、むしろ唐墨に似た風味を感じて塩辛い。
今回の「越前田村屋」のものはノルウェーサバ(タイセイヨウサバ)を使ったもの。
食品加工から、寿司ネタなどの生産販売まで広くこなすマリンフーズの取り扱い商品である。
最初、マリンフーズの方に食べてみませんか、と出されたのがいきなり握りずしだった。
すし飯の上に「へしこ」とスライスした大根がのっている。
これが素晴らしくうまいものだった。
輸入サバが材料なのに、香りも味わいも「へしこ」として上々である。
大根のさっぱりした辛みが来て、「へしこ」の塩辛さ旨味がきて、すし飯となる。
さすがに寿司ネタを得意とする企業ならではの発想だろう。
これをひとつ頂いてきて、『市場寿司 たか』で再現する。
たかさん、まずは、大根をかつらむきにする。
これを薄い塩水につけて、水分を拭き取る。
軽くあぶった「へしこ」を握り、大根のかつらむきで巻いて出来上がり。
「ちょっと塩辛いけどうまいね。やめられないかも知れない」
あぶっただけ香りも高い。
塩分がやや高めなのだけど、とにもかくにも“うまい”のでやめられない。
国産のマサバでも試してみたい一品である。
たかさんは、「できたら持って帰りたい」と言っていた「へしこ」が総てなくなったのが寂しいようだ。
でもむきになって食べたのはボクだけじゃない。
越前田村屋
http://store.shopping.yahoo.co.jp/echizengani/index.html
寿司ネタ(made of)
タイセイヨウサバ
Atlantic mackerel, Common mackerel
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