寿司図鑑 1680貫目

福井県若狭町、名物なれ鯖

ふくいけんわかさちょう、めいぶつなれさば /
福井県若狭町、名物なれ鯖
いずし Izushi

価格ランク

並

麹だけでご飯を使わない純粋な飯ずし

若狭町遊子は福井県三方五湖から北に突きだした半島にあり、古くは滋賀県や京都府京都市へのサバ(マサバ)の供給地であった。
ここから滋賀県にサバを運び、ときに売り先の農家で「へしこ(ぬか漬け)」を仕込んだりもしていた。

サバを使ったすしには、ご飯を主とした「棒ずし」や「握りずし」と、魚(サバ)自体を主とした「なれずし」や「飯ずし」がある。
「なれずし」は魚と塩とご飯で、乳酸発酵することで出来上がる。
「飯ずし」は塩と米麹で作る。麹菌の力を借りて発酵して甘味とうま味を生み出す。
「なれずし」はある程度の気温の高さが必要で、寒冷な地域には向かない。
気温の低い本州日本海側は典型的な「飯ずし圏」と言えそうである。
ただ、不思議なことに、若狭地方と同様に気温の低い滋賀県北部の「サバのなれずし」は乳酸発酵した「本なれずし」だが、若狭に出ると麹を使った、「飯ずし」に変わる。
これは謎としかいいようがない。
「飯ずし」にも麹だけを使うものと、麹とご飯の両方を使うものに分かれる。

米麹がびっしりとついている


今回の「名物なれ鯖」はご飯を使わず麹だけの純粋な「飯ずし」である。
サバはノルウェーからの輸入ものなので、タイセイヨウサバだが、本来は前海で揚がっていたマサバを使っていたはずである。
「なれずし」のような独特の発酵臭はなく、とても食べやすい。
塩気がほどよいところもいい。
麹で発酵した優しい甘味と、サバのおいしさともに楽しめると思う。
[ツルヨシショクヒン 福井県三方上中郡若狭町遊子]

寿司ネタ(made of)

タイセイヨウサバ
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タイセイヨウサバ
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