寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
タカベ
たかべ / タカベ
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意外に東京を代表する魚のひとつだと思っている。
色合いから、なんとなく熱帯を思わせるが、東京都は南北にすさまじく長いというのを、この魚くらい実感させてくれるものはない。
夏になると、毎日のように市場にあるものだが、近所の魚屋なんかの認識は「塩焼き魚の高級品」というもの。
この地味で目立たない高級魚が九月になった途端、たっぷり入荷してきていて、値段もかなり落ちてきている。
「安いね。茂さん」
八王子市並木町の『魚茂』が何本か選んでいたので声をかける。
「タカベを焼ける家がなくなってね。最近じゃ売れない魚のひとつだけどね。それなのに、どうしてこんなに高いのってオレなんか聞きたいよなー」
「そのタカベをどうして仕入れてるの」
「これは注文さ。ねえ、どうして高いの、おせーて、おせーて」
そんなことわかるわけがない。
そして『市場寿司 たか』に寄ると、なんだかわからないネタがあって、これがやっぱりタカベだったのだ。
「ケンちゃん(仲卸)に来てたんだけど。卸したら、なかなかいいのよ。味があるし、脂もあるしさ」
「どこからきたヤツ」
「神津島とかいったけな」
「それじゃ鮮度悪くない」
「まあ、今日一日が限度かな」
ちなみに、たかさんの場合、新しすぎて旨味に欠けるものは、一日寝かすことだってある。
すしネタの場合、「旨味がほどよくないとダメなんだ」という。
握ってもらったら、そんなにきれいなネタではない。
普段は刺身にしない魚なのだけど、刺身で食べてみると、思いも寄らぬほどにうまいのは知っている。
当然、すしにしてまずいはずはない。
残念ながら鮮度はイマイチだ。
でも予想以上に旨味を感じる。
脂の甘味、まったり感よりも旨味が先に来る。
適度に軟らかいので、すし飯との相性もいい。
そろそろタカベも産卵期となる。
産卵期となって秋らしくなるとともにタカベは市場から消えて、また食べたいと思わなくもなる。
タカベは夏の魚なんだなと思う次第である。
寿司ネタ(made of)
タカベ
Yellowstriped butterfish
関東周辺、伊・・・・
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