寿司図鑑 670貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

ヒメエゾボラモドキ酒蒸し

ひめえぞぼらもどきさかむし / ヒメエゾボラモドキ
ヒメエゾボラモドキ酒蒸し
握り

専門的な話になるが、一般に煮る、蒸すなど熱を通して食べるのが「ばい」、生で食べるのが「つぶ」という。
 例外が多いので一概には言えないが、基本的にはこうなる。
 「ばい」を分類学的にいうと「エゾバイ属(Buccinum)」、「つぶ」を「エゾボラ属(Nptunea)」だと考えるとわかりやすい。
 その「エゾボラ属(Nptunea)」でも比較的南で揚がるのがヒメエゾボラモドキだ。
 主産地は相模湾、駿河湾となる。
 普通、エビカゴなどでとれるのだが、売り物にならないことが多く、漁師さんのおかず、もしくは肴となる。
「どうやって食べているんですか?」
 その昔、相模湾のエビカゴ漁師に聞いてみた。
「しょうゆで煮て食べるだーよ」

 市場で見ていく限り、「エゾボラ属(Nptunea)」である「真つぶ(エゾボラ)」、「Bつぶ(エゾボラモドキなど)」も「青つぶ(ヒメエゾボラ)」も生だったり焼きつぶ(サザエの壺焼きのように)にはするが、“煮る”という発想が湧いてこない。
 何度か、煮て食べているし、酒蒸しにしてもいるのだけど、はっきりした記憶が残っていない。
 それで改めて酒蒸しにする。
 酒と水半々で短時間蒸し煮するが、味付けはしない。
 ここでしょうゆ、塩などを加えると硬くなりやすい。

 これをすごすごと、たかさんに差し出すのだ。
 なぜなら、たかさんは巻き貝はすしネタに合わないと思っているからだ。
 その一個を適当に切り、味見をしてもらう。
「お、お、うまいね。これはうまいよ」
「そうでしょう。ボクにも意外だったんだよね」
「甘味が強いね。それに思ったよりも軟らかい」
 握りにしたら、
「やっぱりすし飯だけが先になくなって口に残るだろ。これはイヤだね」

 しかし、しかし、この甘味はすし飯とも合うではないか。
 しかも、しかも、うまいのだ、とにかく。
 確かにすし飯だけが口の中で“さよなら”するけど、そんなことは気になりませんね。
 この握りはかなりいけます。

寿司ネタ(made of)

ヒメエゾボラモドキ
Whelk

ヒメエゾボラモドキ
千葉県以南の相模湾や駿河湾の深場でとれる巻き貝。
北海道のエゾボラ、エゾボラモドキの系統のひとつ。このエゾボラ属は生食(刺身)などに向いている。
「真つぶ(エゾボラ)」と同様に食べられるが小型で量がまとまらないので、ほとんど一般には知られて・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

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