寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
茨蟹擬/イバラガニモドキ
いばらがにもどき / イバラガニモドキ
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春になると、タラバガニ類が安くなるのだ。
ほとんど投げ売り。
「このところタラバガニとか安くない」
近所のすし屋が喜んで買っていく。
「でも安いんだから、それなりのものでしょ」
足を指でつまむとペコペコとたわいない。
「タラバはね。身の入りが少なくても使えるからね」
そのタラバガニも安いけど、隣にある「イバラガニ(イバラガニモドキ)」はもっと安い。
「こっちの方がいいんじゃない。身も大丈夫そうだし」
足をつまみながら呼び止めると、
「だめだ。有名じゃないカニは売れねー」
イバラガニモドキをも含むタラバガニ類がカニ(短尾類)か異尾類かという話はつまらないから横に置くとして、この安さは魅力的だ。
なんとキロ当たり600円、1尾550円なりのイバラガニモドキである。
ついつい買ってしまう。
これを左右分解し、内子を甲羅に詰めて蒸す。
『市場寿司 たか』に持ち込むと店主の“かに食い”たかさんが喜んだ。
「これうまいじゃない。タラバガニかな」
「違いまーす。イバラだよ」
「赤味が濃くてきれいだしうまいね、これ」
さっそく出てきた握りも、きれいだ、ビューティフルだ。
口に放り込むと、ほどよく身がほぐれて甘みがあり、また甘みだけではなく、微かな渋みのような舌にざらつく旨味が広がっていく。
その広がりを止めてくれるのがすし飯であって、旨味の薄まる前に、また甘みを浮かび上がらせてくれる。
スワンダフル!
「おい、こっちの方がもっとワンダフルだ」
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軍艦にのっているのはイバラガニモドキの内子である。
これはうまいなんてものじゃない。
例えばウニとかこのわたとか、濃厚な旨味を誇るものは多い。
でもイバラガニモドキの内子はより深い味わいを舌に感じさせてくれて、しかも後味がいい。
こんなうまいものが550円でいいのだろうか?
世の価値観がわからなくなる。
寿司ネタ(made of)
イバラガニモドキ
英名/Golden king clab
国内での水揚げは安定していないが北海道〜三重県まで水揚げをみる。現在ではロシア産が多く、国内ではあまりたくさんとれない。・・・・
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