コショウダイの握り
こしょうだいのにぎり / コショウダイ
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1980年から世紀末にかけて、相模湾では珍しい魚だったと思う。磯釣りなどで釣れても手のひらサイズがせいぜいといったところ。滅多に釣れないので、本命のメジナなどよりもうれしかった憶えがある。それが近年では神奈川県小田原などの定置網にどっさりと入るのである。これ明らかに温暖化のせいではないか?
さて小田原からどっさり送られて来たコショウダイはすべて活け締めにしてあって、早朝に競られたものが、同じ日の朝に八王子までやってくる。
これを、たかさん(渡辺隆之)さんに渡すと、少しイヤな顔をして下ろし始める。まだまだコショウダイにはなじめない、関東で修業したベテランすし職人特有のリアクションである。
今回のものは重さ1.2キロほど。コショウダイとしては中型サイズといったところだろう。ちなみに九州などでは5キロ、8キロなどがどっさり揚がることも少なくはない。
皮を引くと現れるのが美しい血合い。腹の部分を切りつけて2人で味見。
「うん、いい味だ」
「そうでしょ。いい味でしょ。いやがることはない」
「でもな、コショウダイじゃー、まだ売れねーからさ。結局お任せ握りに入れるだけになる」
腹身の握りを口に放り込むと、実にうま味が濃い。噛むとじわりとしみだしてくる。が、この「噛むとしみ出してくる」のではダメなんだという。
すし飯との馴染みが悪いので、ネタだけが口に残る。これをたかさんはダメだけど使える、といい。ボクはうまいな、と思う。
食べ手と作り手の意見の分かれる一かんであった。
2013年04月19日
寿司ネタ(made of)
コショウダイ
Crescent sweetlips, 台湾/花軟唇
関東の市・・・・
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