寿司図鑑 1272貫目
サメガレイの握り
さめがれいのにぎり / サメガレイ


5月の穏やかな朝、たくさんのサメガレイが入荷してきた。1㎏前後できれいに粘液を洗い流している。鮮度も非常にいい。サメガレイの産卵期は寒い時季だという。とすると旬は夏から秋となりそうだが、不思議なことにまずいサメガレイには年間を通してお目にかかれない。
これを市場の仲卸で五枚に下ろしてもらい、『市場寿司』に持ち込み、あれこれ試してみる。たかさんに少し切りつけてもらい、味見すると、舌の上でじんわりとろける感がある。甘味が強くて美味しい。
「よく白身の大トロなんていうけど、違うね。まったく味が違う。これはこれだよ」
「酸味がないからね。マグロの脂は甘いには甘いけど酸味があるよね」
脂の粒子が非常に小さいのだろう、切りつけた身全体からにじみ出てきて、少したってトロッと感じる。
「でも、これ好きな人多いだろうね」
甘味があって、口のなかで適度にとろける。すし飯との馴染みもいい。
ネタケースにあっても「白身」とは思えそうにない、そのような一かんだとすし職人はいう。
2012年05月11日
寿司ネタ(made of)
サメガレイ
Roughscale sole
主な産地は北海道・東北だ。古くは粘液の多さや脂が強いので安い魚の代名詞であった。産地での扱いも悪く、余計に値のつかないという悪循環が生まれていた気がする。
それが近年の脂嗜好、粘液をていね・・・・
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