寿司図鑑 1311貫目

ひめちのあせ巻きずし

ひめちのあせまきずし / ヒメジ
ひめちのあせ巻きずし
郷土ずし Kyoudozushi

価格ランク

並

 ヒメジは比較的浅場で操業する底曳き網でまとまってとれる。体長20cmほどの小魚である。身はやや軟らかいし、小骨こそ少ないが中骨、腹骨などは少々硬い。なれないと料理するに手強い魚である。これを底曳き網のある漁村などでは実に上手に料理し、実に多彩な料理法をあみだしている。なかでもこの小魚を料理させると国内でも随一なのが、和歌山県和歌山市雑賀崎の方々である。
 ヒメジを当地では「ひめち」。これを丁寧に下ろして小骨を抜き、塩でしめて甘酢に漬け込んでいる。その甘くもなく塩辛くもない加減がとてもいい。酢飯もまた同様にほどよい。これを「あせの葉(ダンチク)」で巻くのは和歌山市周辺ならではのことだと思う。
 ダンチクは国内では温かい海岸線に生える大型のイネ科の植物。雑賀崎をぐるりとめぐると海岸に沿って群落を作っているのがわかる。葉はすしを巻くのに使い、頑丈な茎は干ものを干すときに使う。葉は匂いがほとんどなく、また食べてみてもイヤな味がしない。この葉で魚料理に使うことをあみだした先人の知恵に感嘆する。
 さて「ひめちのあせ巻きずし」だが、「あせ」をほどいては口に放り込み、また放り込んでは「あせ」をほどく。爽やかな酸味と「ひめち」の味があいまって食べ始めるときりがなくなる。それほどにうまい。きっと祭りの日などに作るものだったのだと思うが、古来より雑賀崎の子供らもこの味が待ち遠しかっただろうな。
協力/金栄丸(酒屋魔剣和歌山市雑賀崎 金栄丸では魚の販売もやっています)

寿司ネタ(made of)

ヒメジ
Japanese goatfish, 台湾/日本緋鯉

ヒメジ
ヒメジ科の魚は大小様々で共通するのは長い口ひげを持っていることだ。中型から大型のものはヨーロッパなどでは高級魚。色合いからルジェー(赤い色合い)として揚げ物、ムニエルなど盛んに使われる。
本種は比較的浅い砂地にいて、底曳き網などでまとまって・・・・
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