寿司図鑑 689貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

角剥/ギマ

つのはげ / ギマ
角剥/ギマ
握り

最近増えてきている魚、それがギマではなかろうか?
 静岡県沼津の定置網でも、東京湾などの定置網でも、嫌われ者のギマを見かけないことがない。
 なぜにこれほど嫌われるかというと、背鰭、腹鰭の鋭くて硬い棘に大量の粘液をだすこと。
 この粘液たるや、タワシでこすっても、こすってもまだ出てくる。
 ギマを買うとき、もしくは釣ったギマを持ち帰るときには、先に頭とワタ、皮を剥ぎ取ってしまうに限る。
 ちなみに肝は絶品である。

 さて、市場にギマが入荷してくることはほとんどない。
 今回のは、珍しい魚を出荷することで有名な和歌山県串本市の出口水産。
 かわった魚がいるな、と仕入れにきていた料理人たちの輪ができていた。
 3、4本買い求めて、その場で頭を落とし皮を剥く。
 持ち帰って振り塩。
 半分は昆布でしめ、半分は酢でしめた。
 ギマの握りにはなんども挑戦している。
 でももうひとつ旨味がないのだ。
 これを一手間かけて、再度握ってもらうという次第だ。

 仕込みは終わっているので、たかさんに渡してからはあっという間。
 八かんほどの昆布締め握り、六かんの酢締め。
 昆布締めが思った以上にうまい。
 シコっとしていて、昆布のうまさが来て、そして最後にギマの味。
 すし飯との相性もいい。

昆布締め(写真上)

 隣の中華料理屋、『さくら』夫婦にも食べてもらい、「なーに、おいしいね。なんて魚なの」と好評だった。
「たかさん、あまり旨味のない魚は昆布締めにするのがいちばんだね」
「オレはもともと昆布締めが好きなんだけど、ギマって独特の食感があるだろ、それで余計にうまいんだね」
 ただし難点はあるわけで、それが血合いの汚さなのだ。

gimasujime081010.jpg
●クリックすると拡大
酢締め

 酢締めだと、血合いの汚さが消えてしまう。
 まさにギマ向きの調理法だ。
 しかもこちらもうまい。
 ちゃんとシコっとした食感が残っているし、酢がギマの旨味を引き出してくれている。
「ボクは酢締めがいいな」
「オレは昆布締めだけど」
 二人の意見は分かれたけど、これは好みの問題なのである。

 隣の『さくら』で加賀棒茶を淹れてもらって、新聞を読んでいたら、
「ねえ、さっきの魚ってなに? フグよね、フグでしょ」
「そうだよ、フグの仲間なの。でもフグじゃない」

寿司ネタ(made of)

ギマ
Short-nosed tripodfish

ギマ
内湾性で腹鰭と背鰭に非常に大きくて硬く鋭い棘を持つ。また大量に粘液を出すなどで危険だしやっかいな魚である。
古く浜名湖などで好んで食べられたという記録が残っているが、今ではその鋭いとげと、大挙して押し寄せてくるので、内湾の定置網などに入って・・・・
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