寿司図鑑 687貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

帆立貝/ホタテガイ

ほたてがい / ホタテガイ
帆立貝/ホタテガイ
握り

東京でホタテガイがすしネタとして登場したのは、そんなに昔のことではない。
 だいたいホタテガイ自体が高価な二枚貝で、しかも本来は乾し貝柱とか缶詰に加工されることは主だったのではないか?
 そして乾し貝柱も缶詰も輸出用であって、とても国内に回ることはなかった。
 ホタテガイの資源は限られており、乱獲に陥りやすい。
 漁場があれたら新漁場を開拓し、またそこで取り尽くすと新漁場を開拓する。
 それが転機を迎えるのは1964年に、玉ねぎのネットで種苗を採取する方法が編み出されてからだ。
 古くから杉の葉で種苗を採取して、ある程度まで育てて放流するなどの資源維持の努力はなされてきていた。
 それが1970年前後に一気に飛躍する。
 採取法が確立して種苗を放流していたのを、ネットに入れて海に垂下しての養殖が確立したからだ。
 これより、希にではあるが関東にも活けのホタテガイが出回るようになったはず。
 そして今や、活け(殻つき)、むいた貝柱、冷凍貝柱、ゆで貝柱と市場にホタテガイがあふれかえっているのだ。
 このようにふんだんにホタテガイが食べられるようになったことには、先人の多大な努力があったわけだ。

 さて、今回のホタテガイ。
 別にホタテガイのために買ったわけではなく、付着するナミマガシワの画像を撮影するために集めたもの。
 せっかくだから、たかさんに握ってもらう。
 貝柱は硬い周りにある腱などをはずし、紐(外套膜 光を感じたり、貝殻を作ったりする)を塩でもみ洗いする。

 やはりホタテの握りはうまいな。
 目の前で殻を剥き、すぐに握ったものなので、まだ貝柱に膨らみというか弾力がある。
 そこのホタテならではの強い甘味。

「たかさん、ホタテの握りって久しぶりだね」
「殻ホ(活け)のこと。それなら久しぶりだ」
「むきホ(貝柱を剥いたもの)とどっちがうまい」
「やっぱり改めて食べると殻ホかな」
「それでさ、ホタテを初めて握ったの、いつ頃かな」
「覚えてないけど、前の店(5年前)でも握っていたし、修業時代はどうだっけな」
「思い出せない」
「オレは高校を卒業して店に入ったろ、そのとき(1975年前後)はなかったね」

 “初めてホタテを握ったのは何時ですか”、すし職人に会うたびに聞くのだけど、いまのところ1980年前後という答えが多い。

寿司ネタ(made of)

ホタテガイ
Giant ezo-scallop, Common scallop, Frill, Fan-shell

ホタテガイ
東北以北の浅い砂地に生息する大型の二枚貝。イタヤガイ科のなかでももっとも生産量が多く、北日本で養殖・稚貝生産されている。純天然ものは非常に少ない。
古くは非常に高級なものだったが養殖されるようになり、庶民的な値段になった。・・・・
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