寿司図鑑 713貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

松江市内『大鯛寿司』の十二かん、その九赤海老/ホッコクアカエビ

あかえび / ホッコクアカエビ
松江市内『大鯛寿司』の十二かん、その九赤海老/ホッコクアカエビ
握り

エビがやっとでてきた。
 関東ではゆでエビだが、ここではホッコクアカエビである。
 島根で甘エビ(ホッコクアカエビ)? と思われるかも知れないが、生息域の南限なのである。
 ただし、島根ではほんの少し混ざる程度、漁業対象とはとてもいえない。
 面白いのは鳥取県東部ではそれなりに水揚げがあることだ。
 全国的に甘エビでとおるホッコクアカエビを鳥取・島根では「赤海老」と呼ぶ。

 目の前の産地はわからない。
 鮮度がよく、抱卵個体であったようで卵が乗っている。
 客としては島根もしくは県境近く、島根の水産物を大量に水揚げしている境港のものだと思いたい。
 この握りとしての姿が美しい。
 若い職人さんの腕が並ではない、ということがよくわかる。

 甘エビ(ホッコクアカエビ)の旨さは甘さである。
 甘みを感じさせるアミノ酸が、粘液に絡まるようにある。
 そのため甘みが強く感じられるのだ。
 甘く感じながら旨いのである。

 そしてこの小さな一かんが甘い。
 上にのった卵のプツプチして、鮮度がいいために身にも適度な食感がある。
 苦みがまったく感じられない。
 舌にほどよいサラサラした甘みだけが残っている。

 これが地物(松江魚市場に出てきた近海のもの)なら、ホッコクアカエビの南限を食べてることになる。
 ここに旅情を感じるのは甲殻類学をほんの少しかじったせいだ。

大鯛寿司 島根県松江市東奥谷町361-9

寿司ネタ(made of)

ホッコクアカエビ
英名/Deepwater prawn,Deepwater shrimp,Pink prawn

ホッコクアカエビ
生息する水深が深く、漁業の対象となったのはそれほど古くはない。主に日本海側でとれるもので、1960年代に新潟県などから「ナンバンエビ」という呼び名で入ってきていた。この当時、デパートの物産展などが行われ、徐々に一般に知られる存在となった。
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