寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
魚治の鮒寿し/ニゴロブナ
うおおさむのふなことぶきし / ニゴロブナ
握り nigiri軍艦巻 gunkanmaki海苔巻 Norimaki丼・ちらし Don/Chirashi郷土ずし Kyoudozushiなれずし Narezushiいずし Izushiいなりずし Inarizushiその他 Others
学生の頃から「ふなずし」が大好きだ。
初めて買い求めたのは、京都の錦市場。
ボクが日本酒好きになったのが上京一年目。
当時の年齢を書いても問題はないだろうけど、法律にふれる、そんな若年からの日本酒好き。
その酒の肴にとなにげなく買い求めたら、ひときれ食べて、すぐに「ふなずし」ファンとなる。
当然、上京するときなど必ず途中下車してひとつふたつ。
発酵食品を好きになる人と、どうにも好きになれない人がいる。
ボクの場合、「ふなずし」だって、魚醤だって、塩辛だって、くさやだって、大好きなのだ。
どうやら発酵食品なくして生きていけない人種でもあるらしい。
さて、「ふなずし」にもうまいまずいはある。
例えばメタンのような香りがすることもあるし、酸っぱいだけで味がないなんてこともある。
ボクの場合、適宜に切り分け、ほんの少し生醤油をかけて食べているのだけど、旨味のない「ふなずし」はどうにも食べられない。
対するにメタンのような変な臭いなんかは、むしろゆるせる。
ようするにボクの「ふなずし」のストライクゾーンは広いのである。
そんな曖昧な「ふなずし」感を払拭してくれたのが海津にある『魚治』。
ここで話を前後する。(2008年7月21日)
この日は米原から北上して、湖西線で今津まで行ったのだ。
街を散策中、軽い食事をとったのが「でっち羊羹」を売りながら、食堂もやっている不思議な『おとわ屋』という店だ。
この店のご夫婦、地元の常連さんが親切だった。
「このへんにうまいふなずしありません」
「そうやな、ウチらは普段はスーパーなんかで買いますけどね。うまいっていうとどこやろね」
「そら海津のあれ、なんやったかな、店の名前」
電話帳まで開いて教えてくれたのがマキノ町海津の『魚治』だったのだ。
この『おとわ屋』のでっち羊羹がうまかったこと、ご夫婦の親切であったこと「忘れません」。
それで湖西線を一駅もどって、駅員の方に海津までの道を聞き、そして実際歩いてみたら非常に遠かった。
このとき気温は明らかに30度を超えていて、湖畔の道を歩くと熱い熱い。
琵琶湖の砂浜に逃げたら涼しいのだけど、こんどは歩きづらくて疲れるのだ。
やっと『魚治』にたどり着いたときはうれしかったこと。
しかも帰宅後に食べた「ふなずし」が、これまたびっくりするほどに味がいい。
ただたんに刻んで、ご飯のたっぷりついた頭の部分のうまいこと。
ボクは腹の部分、卵巣よりも、この頭の部分をじっくり噛みしめるように食らうのが好きなのだけど、少数派かもしれない。
酸味のなかにニゴロブナの持っている旨味がジワリとくる。
同じ海津の酒『竹生島』で洗い流しながら、また一切れと人知れず喜びが湧いてくる。
この『魚治』の「ふなずし」にはメタンのような臭いも、雑味もまったくない。
酸味とフナの旨味と、後に続くアミノ酸の複雑な甘みだけがある。
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あまりにうまいので、単にそのまま食い尽くすのがもったいなくなる。
『魚治』の説明書きにあるごとく椀に塩と「ふなずし」を入れ熱湯をそそいでみた。
これが酒の後にすこぶるつきにうまい。
酸味があるからさっぱりしている。
それ以上に汁に溶け込んだ「ふなずし」の旨味がいい。
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翌日にはお茶漬け。
これもよかったのである。
考えてみれば、これまで「ふなずし」は酒の肴としかみていなかった。
『魚治』にいろいろ教わった気がする、五十路の夏なのであった。
魚治
http://www.uoji.co.jp/
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