寿司図鑑 633貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

新ばえずし/フナ属

しんばえずし / ゲンゴロウブナ & ギンブナ & ニゴロブナ & タモロコ
新ばえずし/フナ属
郷土ずし Kyoudozushi

魚は地方地方で呼び名が違っている。
 そして非常に多種多様、しかもしかも膨大だから気をつけないといけない。
 愛知県津島市の、うなたろう君から「新ばえの時期ですから」と聞いて、ボクが思い浮かべたのはウグイもしくはオイカワである。
 関東ではウグイが「やは」、オイカワが「白はや」なのだ。
 市内魚屋の店頭にあった「新」=「生まれたばかり」の魚は菱形をしている。
「フナに見えるけど」
「ああ、フナですよ。津島で「はえ」というのはフナです」
 愛知県尾張地方に伝わる「新ばえずし」というのが、フナの稚魚のすしなんだと気がついたのは、この時点である。

 夕方、うなたろう君が案内してくれたのが伝統的なすしを今でも作っているという『末廣寿司』。
 そこは駅前大通りから、一本脇に入った静かな場所にある。

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●クリックすると拡大
お隣の料理屋さんの屋号が『八百善』というのもなかなか面白い。

「“新ばえずし”は予約しないと食べられないんです」
 うなたろう君が予約して置いてくれたものがすぐにやってきた。
 見事な「箱ずし(押しずし)」である。
 予約しないと食べられないのは「箱ずし」であったからだ。
 箱にすしをつめて、最低でも半日、一日くらいは押しをかける。

 上にのっている「新ばえ」の色合いからやや鄙びた面もちがするが、これがなんともうまいものであった。
 佃煮風に作り上げた味付けがいい。
 よく見ると、上にのっているのはフナだけではなくモロコ(タモロコ)も混じっている。
 もっとよく見るとモツゴもいそうだ。
 この甘く、苦い淡水魚の味わいに、すし飯はどこかはんなりとして軽い。
 きっと家庭で作るものは、もっと甘いに違いないが、これくらい軽い味わいの方が好ましい。

 津島市に来て初めて実感したことなのだけど、織田信長、加藤清正などは「淡水魚を盛んに食べる地域」で生まれ育っていたのだ。
 きっといやというほど毎日のように淡水魚を食べていたわけで、過酷な戦国時代を生き抜き天下取りまで成し遂げてしまう源は淡水魚にあったともいえそうだ。

うなたろうの部屋
http://www.geocities.jp/morokounataro/2top.html
末廣寿司 愛知県津島市本町1丁目66

この寿司のネタ種に関しては確実な情報ではありません。可能性のあるものを一部列挙しています。

寿司ネタ(made of)

ギンブナ
Crucian carp

ギンブナ
フナ属の中でももっとも生息域が広く、マブナの異名があるほどである。国内全域に生息している。
フナ属は古くから食用とされてきた。特に内陸部で発展してきた古代の都市部では重要な食用魚であった。ある意味、日本料理の基礎を担ってきた魚ともいえそう。・・・・
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寿司ネタ(made of)

ゲンゴロウブナ
英名/Crucian carp

ゲンゴロウブナ
大阪府などで養殖されていたもの。釣りのために日本全国に移入されている。
食用に改良されたものは関西では少ないながら流通していおり、一部に味の良さが認められている。
対するに関東では食用と認識されていない。ゲンゴロウブナという名はほとんど知ら・・・・
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寿司ネタ(made of)

ニゴロブナ
Crucian carp

ニゴロブナ
「ふなずし」の材料として琵琶湖では高値になるという。
「ふなずし」など、なれずしの材料はなんでもよいのだが、古来よりもっともよく使われてきたのがフナだ。
中でもゲンゴロウブナとニゴロブナがその最たるもの。
そしてニゴロブナの方が骨が軟らかく・・・・
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寿司ネタ(made of)

タモロコ
Field gudgeon

タモロコ
関東、愛知県、岐阜県では佃煮材料として重要。
骨が柔らかく、嫌みのない味わいでワタがほろ苦い。
近年では本種をとる漁師さんなどが減り、徐々に値上がりしている。・・・・
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