寿司図鑑 636貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

小鰯/マイワシ

こいわし / マイワシ
小鰯/マイワシ
握り

小鰯ほど魅力的な魚ってないだろう。
 マイワシの特徴だろうか、小さくてもうまいのがある。
 そんなのを見つけると買わないで通り過ぎることができない。

 今回、八王子綜合卸売協同組合『やまぎし』で見つけたのは神奈川県横須賀市産。
 横須賀というところは東は東京湾、西は相模湾をのぞむ。
 どっちなんだろうと教えてもらいたいけど、『やまぎし』の仕入れ担当は、こんなところに無頓着というか重要性を理解する能力を持たない。
 これが残念でならない。
 最近では料理人もそうだが、小売店でも産地というのがますます重要になってきている。

 猿島を望む東京側か、相模湾側なのか、と思うに、どうも東京湾側に思える。
 大急ぎで『市場寿司 たか』に持ち込むが、なぜか準備中で、たかさんが不在。
(市場寿司 たかの準備中は数十分、もしくは数分)
 やっと帰ってきたら、団体さん(たった三名だけど)がきて、ボクに時間の余裕がなくなる。
 そして翌日。
 やはり鮮度は落ちていた。
 でもおろしながら、切り身を味見した、たかさんがうめく。
「おうおうおう、うまいぞ、これ」
「そうなの。早く作ってよ」

koiwasi0902478.jpg
●クリックすると拡大
「たかさん、どうせ半身にするんだから、最初から三枚におろせばいいでしょ?」、「違うんだな。三枚に卸すと、皮を外せないのよ。開いた状態だと、ほら! 簡単だろ」

 出来上がったのは、一尾一かん。
 左右の身を合わせて、握ってある。
 口に入れた途端に濃厚な旨味が舌と言わず、口腔全体を覆い尽くす。
 そしてトロンととけるようなのだ、口の中で。
 小鰯の味が来て、トロンとして、すし飯の旨味がふんわり浮かんでくる。
 なんとも言えず、絶妙なタイミングではないだろうか?
 一日経っているので身の色合いがよくない。
 それなのに味には鮮度の悪さを微塵も感じない。
 ひょっとしたら頭とはらわたを抜き、一日寝かしたのがよかったのかも知れない。
 幸せすぎる味だ。

 そのとき、通りかかった山梨の太田さん(クルマで行商する)が窓から顔だけ出す。
「あらら、うまそうな顔してるな、このオヤジは。また太るぞ」
 大きなお世話だ!

寿司ネタ(made of)

マイワシ
英名/Sardine,Spotline sardine

マイワシ
琉球列島をのぞく海域で水揚げのある小型魚だ。
世界的に見ると北太平洋でもっとも普通にみられるSardine(サーディン)といえそうだ。太平洋東部にいるカリフォルニアマイワシの亜種とされることもあり、検討されている。
古くから日本漁業の中心を・・・・
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