寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
針魚/サヨリ
さより / サヨリ
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サヨリは江戸前ずし伝統のネタではないだろうか?
たぶん江戸時代から使われていたはず。
基本的には酢で締める。
そろそろ梅雨入りという候となり、やや時季はずれだが、見事なサヨリを見つけて、昔ながらの江戸前握りの技を、渡辺隆之さんに見せてもらいたくなった。
用意したのは、サヨリの握りにつきものの「おぼろ」だ。
本来はシバエビなどをゆでて、すり鉢などですって作るものだが、最近では白身魚が原料となっている。また手間がかかるので、ほとんどのすし屋が河岸(市場)で仕入れている。
今回のものも築地『山勇』のもの。
サヨリは1尾71グラムで、産地は千葉県内房産。
産卵後だと思うのだが、身がしっかりしており、たかさん曰く、「脂もあるよう」だとのこと。
三枚に卸したら黒い腹の皮をすき取り立て塩に10分ほど。軽く酢で洗う。
片身1かんにするのだけど、ひとつは真半分に折り、折った部分をスプーン形にして、そこにおぼろを入れて、握りに。
方や、クルクルと蕨(わらび)に若芽のように細工する。
2つとも、江戸前握りの基本的な技なのだけど、最近ではほとんと見られない。
だいたい出来るひとがいない。
出来上がった握りに、思わず見とれてしまう。
「たかさん、見直したよ。やるねー。きれいだ」
「こんなのすし屋にとっては基本だよ、基本。出来ない方がおかしいの」
サヨリは独特の風味、背の青い魚と白身の中間的な味わいがあって、非常にうまいものだ。
ここにあえて、おぼろをつけ加える必要ありや、なしや。
おぼろの甘みが感じられ、ほんの微かに感じるサヨリの臭みは消えてしまう。
サヨリの風味に浮かんでくるおぼろの甘さ、たまにはこのような握りもうれしいものだな。
「たかさん、ときどきこんなのも作ろうよ」
「だめだよ、ウチは一人でやってるんだから、こんなことやってたら店がつぶれてしまう」
せっかくこのような技がありながらもったいない。
「たまにはいいでしょ」
「いやいや、おぼろの季節も過ぎてしまったなあー」
寿司ネタ(made of)
サヨリ
Japanese halfbeak
上品な味わいから古くより親しまれてきたもので、江戸時代などは贈答用にも・・・・
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