寿司図鑑 1354貫目
小柱ちらし
おばしらちらし / バカガイ


3月の声を聞くやなぜか青柳(バカガイ)の独特の苦みが恋しくなった。そんな気分で河岸を歩いていたら、仲卸の店頭に小柱が一枚だけ残っていた。
「買ってけーよー」と呼び止められたので、素直にいただく。二、三粒口に放り込んだら、独特の甘味を感じる苦みが鼻に抜ける。小柱に春を感じて顔がにやけてくる。
この一枚全部をすし飯にのせて食らう。たかさんも塩水を作り洗って、水切りをするだけなので、「まあこんなもなー、作ったとも言えそうにないな」と宣う。
「これ店で出したことあるかな」
「ない、ない。すし屋にとっちゃー、柱はつまみだからさ
これが強烈、ウルトラC級のうまさである。貝柱の甘味がすし飯によく合い、この青柳独特の風味が箸を進める。
なんと「小柱ちらし」の存在時間が2〜3分ほどしかなかった。
「早食いは太るよ」
「大きなお世話だ」
寿司ネタ(made of)
バカガイ
英名/Rediated trough-shell,Surf-clam
青柳は千葉県市原市の地名で、ここが江戸時代以来東京湾(江戸湾)で水揚げされたバカガイの集積地だったためらしい。
バカガイの価値は関東で突出して高い。
これは二枚貝を剥き身にする技術が関東で非常に発達した・・・・
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