寿司図鑑 1670貫目

鮎のなれずし

あゆのなれずし / アユ
鮎のなれずし
なれずし Narezushi

価格ランク

やや高級

今昔物語に三条中納言 藤原朝成が大きな「すしあゆ(アユのなれずし)」で水飯(ご飯に冷たい水をかけたもの)を食べるという話が出てくるが、都では平安時代以前から非常に上等なもので、ある意味、公卿クラスの人の食であった。これがアユの産地では冬の保存食であり、祭や祝い事などの席でも食べた。
いずれにしてもハレの食そのものであるが、実際に食べてみるとけっこうな酒の肴でもあるし、茶漬けや吸もののもとでもある。
今回の「鮎のなれずし」は兵庫県加美郡香美町、香住を流れる矢田川の天然アユを、田中勝英さんと、妻真智子さんが漬け込んだものである。塩漬けにして、ご飯と一緒に桶につけ込んで1ヶ月発酵させたものだ。アユの産地でもある矢田川周辺では古くから冬の保存食や祝祭用に作られていたが、アユ漁の低迷や作る人の減少で消えつつあった。これをお二人で守っていこうされているようだ。
比較的発酵の浅いものと、発酵が進んだものの2種頂いたが、いずれも「なれずし」特有の強い臭気がなく、むしろあっさりとして食べやすかった。またこの発酵の度合いの違う2種には別種のうまさがあった。
比較的発酵の浅いものはそのままで食べ、少しあぶっても食べてみた。この温かみの残ったものがうまかったのだ。
発酵が進んだものは、まさにこのままで佳肴であった。香住の銘酒、香住鶴にとても好相性。今年の年取魚に数尾残して置きたいが、師走を待たず食べてしまいそうである。
さて、急激に寒くなって風邪気味の朝などに食べたいものが、「鮎のなれずし」の茶漬けである。滋賀県などでも「なれずし」は風邪薬・胃薬などとされているが、とても効くのである。
「鮎のなれずし」は『道の駅 あゆの里矢田川』(兵庫県美方郡香美町村岡区長瀬933-1)で販売している。
『道の駅 あゆの里矢田川』
https://www.michi-no-eki.jp/stations/views/19464

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