寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
ぶといか/ケンサキイカ
ぶといか / ケンサキイカ
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日本海はイカの宝庫。
最大の勢力はスルメイカ、次いでケンサキイカ。
スルメイカは大衆的なイカだけど、ケンサキイカは高級品。
すし屋でケンサキイカを使っていると、「かなり高そう!?」なんておののくものだ。
日本海に多いケンサキイカは春夏の群と、晩夏から秋の群に分かれる。
春夏のは大型になり、細長く、島根県では「白いか」と呼ぶ。
晩夏秋群はずんぐりして耳が長く、胴の半分以上にわたる、これを「ぶといか」と呼ぶ。
分類的にもずんぐりしたものをブドウイカ(「ぶといか」をブドウイカと聞いたもの。他に「だるま」という言い方もある)と分けているのだから、遺伝子的な違いもあるのだろう。
10月の島根県浜田市にはブドウイカがいっぱいあがっていた。
これを競り場前の魚商マーケットで買うと、なんと袋にいっぱい入って千円しかしない。
関東で買ったら幾らになるのだ、心の中で「ぶつぶつ」言いながら美人のお姉さんに宅配をお願いする。
我が家に到着して、まずは刺身にして、姫達が争って食べて、これはこれで堪能。
残りを煮いかにする。
今回のやり方はいちばん基本的なもの。
鍋(我が家では便利なので深いテフロンフライパン)に水と、砂糖、しょうゆを適当に入れる。
沸騰したらていねいにワタを抜き、水洗いしたブドウイカの胴を一匹ずつ入れていく。
鍋のなかでくるくる回しながら、ほどよく煮あげていく。
けっして一度に鍋に入れてはいけない。
胴の空洞の部分に煮汁を循環させながら、くるくる回しながら、これ、と思ったところまで煮ていく。
これを、たかさんに渡すと、
「“赤いか”だな?」
「当たり!」
ここのところがわかりづらい。
日本海で「白いか」と呼ばれるケンサキイカが関東では真逆の「赤いか」と呼ばれているのだ。
ケンサキイカの季節的な群による変異はここでは忘れること。
「ブドウイカ=ケンサキイカ」で使う側はぜんぜん問題はない。
これはとれたばかりのときは白く、時間が経つと赤くなるせいだ。
話は少々くどくなるが、鮮度がもっと落ちてくると、また白くなるから「間違えないでね」。
半割にして、味見したたかさんが思わず「うまいねー」と、これはお世辞であるわけがない。
ボクが食べても絶品である。
腕がいいのか、ブドウイカがいいのかは別。
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皮つきと、皮を剥いてしまうやり方がある。ボクとしては皮付きの方がうまいと思っている。煮ては、バットに上げていく。決して煮汁の中で保存しない
煮いかのうまさは、火の通し加減で決まる。
いちばんいけないのが生っぽいもの。
むしろちゃんと熱を加えて、味も入ってしまった方が増し。
今回のは、これ以上ない適切な火の通し加減となっている。
口の中に入れると、甘さと共に、ホロっとした歯触りがする。
「ホロっと甘い」のだ。
初手の甘さは、間違いなく砂糖としょうゆのアミノ酸が作り出すもの。
ホロっとした後から来る甘さはイカ本来の、内側から来るものだろう。
すし飯との相性も最上級にいい。
素晴らしい一かんとなっている。
さて、ブドウイカも秋の季語なんだろうな。
店の前をイチョウの黄色い葉が飛ばされていく。
市場の隣では銀杏を拾う老人がひとりふたり。
そのイチョウの葉で埋め尽くされた地面、なんだか「さびしい色だな」。
寿司ネタ(made of)
ケンサキイカ
Swordtip squid
小型のメヒカリイカ型、中型で山陰に見られるブドウイカ型・・・・
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