寿司図鑑 580貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

大鰺対中鰺/マアジ

おおあじたいちゅうあじ / マアジ
大鰺対中鰺/マアジ
握り

六月の島根半島定置網巡りは土砂降りの雨に祟られた。
 そのバケツをひっくり返したような雨のなかで揚がったマアジが素晴らしかったのだ。
 大中小、型はマチマチながら、それどれぼってりと太り、表面が金色に輝いている。
 これを買い求めて、宅急便で送る。
 これをすぐに「市場寿司 たか」で握りにする。

 まずは30センチを遙かに超える大アジから。
 これに感動したのである。
 勝手に同席したちょんまげ切り男までが「これはすんごいぞ」とうなる。

大アジの握り。この脂の層の厚みに注目(写真上)

 切り付けたネタの四分の一の層が脂で白い。
 食べてみるとシコっとしているのは鮮度がいいせいだろう。
 旨味も強いし、前の日に食べた九州のブランドアジの感動が一気に消滅してしまう。
 でもこれは序の口の取り組みでしかなかった。
 ここで一気に横綱が登場したのだ。
 それが中アジだ。
 重さ130グラムほど。
 マアジではもっとも平凡な大きさだろう。
 これを卸しながら、たかさん「包丁が重いな」なんて呟いている。
 これを一個口に放り込んだら、さっきまでの大アジの感動がすっかり消え去ってしまった。

ajidai0807123.jpg
●クリックすると拡大

中アジの握り。これは文字では表現不可能なうまさ

 ちょんまげ切り男が、小さな目から涙を落としている。
「うまいよー」
 なんて泣いているのだ。
 おれはもう完璧なるマアジ、完全体(知らない人はアニメなんかで勉強してください)だな。
 旨味がまずやって来て脂の甘味と混ざり合ってうねりが大波となって襲いかかる。
 うまさの連続パンチだ。それほどにうまい。

 マアジだけがうまいのではない。
 とろっと軟らかい身が、寿司飯との相性も抜群であった。
 ということで握りとしても完全体なのである。

 こんなマアジを食べたら、ボクはこれからどうやって生きていけばいいのだろう。
 ボクは改めて生きることに難しさを感じたのであった。

しまね定置もんに関しては
http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/nougyo/chisan/teichimon.html

寿司ネタ(made of)

マアジ
Japanese horse-mackerel, Japanese jack mackerel

マアジ
単に「アジ」はマアジだ。魚類学的にアジ科で「アジ」がつくものは「アジ」という人がいるが、一般的な話ではない。流通上も「アジ」とはマアジである。
北海道〜九州までの沿岸域、非常に浅いところから水深100mまでで群れを作る。
アジ科には多数の食・・・・
市場魚貝類図鑑で続きを読む⇒

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