寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。
阿久根産マアジ
あくねさんまあじ / マアジ
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「旬がわからんな」
鹿児島県阿久根から水氷で入荷してきたアジを並べて、ついついこぼれた、ボクの独り言だ。
それを捉えて、バカな居酒屋オヤジが
「旬がわからんで偉そうに言うな。このバカ野郎」
なんてほざく。
実を言うと、このような単純にしか魚貝類の旬を考えないヤカラが多くて困るのだ。
しかもこんなわかりやす過ぎる人物が、水産物の需要と供給のバランスに影響していると思うと薄ら寒くなる。
さて、島根県の定置網のマアジは七月の時点で抱卵して腹がパンパンにふくれていた。
それなら鹿児島のマアジはすでに放卵してしまって痩せているだろう、と思ったらあにはからんや、丸々と太って脂がのっていそうに見える。
卸してみても卵巣は見つからない。
刺身で塩焼きで、ついでに煮つけで食べてもうまい。
また鹿児島県からの荷だとかなり水揚げから時間が経っていそうだ。
それなのにこれだけ鮮度がいい、というのは水氷のなせる技だろう。
地方からの流通面で水氷、下氷の鮮度保持での評価は早い内にやっておかないとダメだと思う。
閑話休題。
八王子総合卸売センター『総市』で仕入れた阿久根産マアジを『市場寿司 たか』に持ち込む。
朝、市場で知り合いの寿司屋がまず最初に探すのがマアジである。
産地はまったく関係ない。
例えば本物の職人にとって「関あじ」だろうが「華あじ」などのブランドも無用だ。
とにかく自分自身で触って、また鰓ブタを見て、ときに実際に卸してみる。
それまでしてやっと仕入れるか仕入れないかが決まる。
マアジはそれほどに重要な種だと言うことだろう。
まず最初にたかさんに問うたのが、「このアジは仕入れる気になるものなのか、どうか」である。
「これはいいね。目がちょっと白いように思えるけど、鮮度とは関係ないからね。丸い感じがするし、触っただけであるていど脂(ののり)がわかるし。キロ700円は安いね。拾いものだろう」
当然、卸してみても充分に脂があるし、また鮮度的にも申し分がない。
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脂ののっているアジは口に入れたとたんにトロッとする。
今回のものは脂的に特上ではないけれど、「上の部類」に違いない。
「オレはアジだったら、これくらいの脂ののりでいいね。あんまり大トロすぎてもだめだ」
やや脂に弱いたかさんの意見。
ボクはもっと脂がのっていてもいい。
でも、いくら食べても「うまくて、うまくて」何かんでもいける。
「今年はほとんど毎日のようにアジを食ってるね。産地もいろいろだろ。でも飽きないねアジ」
本当にマアジは毎日食べても飽きが来ない。
五かん、六かんと立て続けに口に放り込んでいたら、後ろから、
「ちょっとは加減しろよ。国家あげて肥満防止だって言ってるだろ」
そこにいたのは“ちょんまげ切り男”から“ちょんまげ男”に変身した五十路オヤジなのだ。
「よけいなお世話だ!」
寿司ネタ(made of)
マアジ
Japanese horse-mackerel, Japanese jack mackerel
北海道〜九州までの沿岸域、非常に浅いところから水深100mまでで群れを作る。
アジ科には多数の食・・・・
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