寿司図鑑 587貫目
寿司図鑑1~856貫目は旧コンテンツからの移行データの為、小さい写真の記事が多くあります。

穴子めそ/マアナゴ

あなごめそ / マアナゴ
穴子めそ/マアナゴ
握り

寿司職人には使うアナゴに好みというものがあり、太め、中くらい、めそ、と仕入れていくのを見ているのが、なかなか楽しい。
 中くらいのを、いちいち感触を確かめながら袋に放り込む寿司職人がいる。
「なにをやってるんですか」
「いや、別にね。こういうのがいいと思ってるだけ」
 選び出したのを、ボクに持たせてくれる。
 思ったよりも腹が丸く、軟らかい。
「あんまし締まってないだろ。こんな感じがいいと思うの」
 脇に、たかさんがいて、こちらも真剣に選んでいる。

「なんで“めそ”なのよ」
「安いからだろ」
「“めそ”うまいのかな」
「食べてみればわかるよ。オレの店じゃ、大きさの好みなんていってられないの。安いものを選ぶのが基本」
 マアナゴの35センチ以下のを“めそ”と呼ぶ。
 普通天ぷらなどではこれを好んで使う職人がいる。
 でも寿司屋としては少数派だろう。

 店に入るや、すぐにアナゴを割き始める。
 これを見てから市場を後にした。
 翌日には煮上がったアナゴが種ケースに並んでいる。
「これ二かんね。と300円をおくと」
「へいよ」
 きたのが“めそ”一本分の握り。
「これはやりすぎでしょ」
「まあ、オマケかな。普通だと一本で三かんとれるね」

“めそ”は脂が少ないんじゃないだろうか?
 これは杞憂だった。
 脂がのっているのか、口に入れるとホワっと溶け始める。
 適度に繊維質をほぐしながら溶けていくのだけど、甘辛い醤油の風味・味とアナゴの旨味が混合されてひとつになる。
 その旨味を受け止めるのが寿司飯の役割。
 大きすぎるネタなのに、むしろもの足りないくらいだ。
 また“めそ”のいいところは小骨がまったく舌に触れないこと。
 きっと身とともに溶けているんだろうね。
「たかさん、“めそ”もう一本」

寿司ネタ(made of)

マアナゴ
Conger-eel

マアナゴ
北海道〜九州までの内湾に生息する。食用になっているアナゴ科の魚は数種いるが、そのなかでももっとも漁獲量が多く、知名度が高いために「真」をつけて「真穴子」と呼ばれている。
人口の多い都市部のある大きな湾(例えば東京湾、伊勢湾、三河湾、大阪湾、・・・・
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